消化器内科
日本人に特に多い消化器疾患
消化器に分類される臓器には、食道・胃・十二指腸(小腸の一部)・小腸・大腸・肝臓・胆嚢・膵臓があります。ひと口に消化器病と言っても、非常に多くの病気を含むことになります。なかでも、日本人が罹るがんの多くは消化器に由来(胃がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、胆嚢がんなど)していますし、 慢性胃炎・胃潰瘍も日本人には極めて多い病気です。また、C型肝炎・B型肝炎に代表される慢性肝炎は第2の国民病とも呼ばれるほど多くの人々を苦しめています。
消化器内科で診る主な疾患
死亡者数の大部分を消化器がんが占めています。
早期発見、早期治療が大事です。しかし、これらのがんは、初期には症状が全くみられないことも多く、早期発見には定期的な検査が欠かせません。
慢性胃炎
胃の粘膜が萎縮する慢性胃炎は、これまで加齢に伴うものと考えられてきました。ところが、現在ではヘリコバクタ・ピロリ菌の感染による結果だということが分かっています。ヘリコバクタ・ピロリ菌の感染は、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍のみならず胃がんの発生につながることが知られています。ヘリコバクタ・ピロリ菌が胃に感染しますと、慢性胃炎が生じ、次第に胃の粘膜が萎縮します。その結果、胃の粘膜細胞に遺伝子異常が生じ、炎症の持続と相まって胃がんの発生に至ります。日本人の50歳以上の成人では半数以上がピロリ菌に感染しています。ピロリ菌感染の診断・治療により、胃がんの発生を減らすことが報告されています。
ピロリ菌感染は、内視鏡検査、血液検査、呼気検査、便検査等により診断することができます。
ヘリコバクタ・ピロリ菌と胃がん
日本人の胃がんの大部分は、ヘリコバクタ・ピロリ菌(ピロリ菌)というバクテリアが胃の細胞に感染することで発生することが知られています。ピロリ菌がヒトの胃に感染すると、胃の粘膜に炎症が起きます。炎症が長期間持続すると、胃の粘膜細胞は徐々に変化し、本人の遺伝的体質や生活環境、食習慣などと相まって、胃がんが発生するのです。おそらく子供の頃に感染したピロリ菌は、何十年間かけて胃に慢性胃炎を引き起こし、胃がんを発生させるのです。つまり胃がんの発生には、ピロリ菌感染と胃炎が重要なファクターであることがお分かりいただけると思います。
胃内視鏡検査
ファイバースコープを使って、食道・胃・十二指腸の病気の検査を行います。がん(食道がん、胃がん、十二指腸がん)、ポリープ、潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)、炎症(逆流性食道炎、慢性胃炎、十二指腸炎)、食道静脈瘤などの診断が可能です。
内視鏡特有の苦しさが少ない「経鼻内視鏡」を導入しております
当院の内視鏡システムは2018年5月に発売されたFUJI 6000です。機械の特徴として臓器の粘膜表層の微細な血管や、粘膜の微細な構造などを強調して表示する機能「BLI(Blue Light Imaging)」や、画像の赤色領域のわずかな色の違いを強調して表示する機能「LCI(Linked Color Imaging)」などの画像強調機能により、微小な病変の発見をサポートするLED光源搭載内視鏡システムとなっています。また、当院は福島区では数少ない大阪市胃がん検診(内視鏡)の取り扱い医療機関です。大阪市在住の方は是非ご利用ください。
胃がんリスク検診(ABC検診)
胃がんリスク検診(ABC検診)は、「ピロリ菌感染の有無を調べる検査」と「胃炎の有無を調べる検査」を組み合わせて、胃がんになり易いか否かをリスク(危険度)分類する検査です(三木一正、日本健康増進財団)。血液検査で判定します。ピロリ菌感染の有無は血清ピロリ菌抗体を測定して、胃炎の進行度は血清ペプシノーゲン値を測定することで判定します。
胃がんリスク検診(ABC検診)の判定方法
検査結果はA、B、C、Dの4段階で判定します。
【A群】ピロリ菌の感染も胃炎もない群で、胃がんの発生リスクはほとんどありません。
【B群】ピロリ菌の感染はあるが胃炎が進行していない群で、胃がんの発生頻度は1年で1,000人に1人といわれています。
【C群】ピロリ菌に感染して胃炎が進行している群で、年配者には最も多いタイプと思われます。胃がんの発生頻度は、1年で500人に1人といわれています。
【D群】ピロリ菌抗体が陰性ですが胃炎が進行している群です。ピロリ菌が陰性であり、一見良いようにみえますが、最も注意を要するタイプです。おそらく過去にピロリ菌の感染があったのですが、ピロリ菌によって胃が荒されており、ピロリ菌が住めないほど胃炎が高度に進行した状態です。胃がんの発生頻度は、格段に高く、1年で80人に1人といわれています。